☆☆☆ 俺は、その直後の記憶を失った。 あまりにショックすぎて、空白の時間ができちまったんだ。 今でも、その時のことは何一つ思い出せやしない。 ……それから、気が付くと俺は車を飛ばしていた。 涙でグチャグチャに濡れながら、わけもわからず走り回ってたんだ。 奈々子の遺体を、後部座席に寝かせてな……。 自分でも、充分に異常な行為だってことはよぉくわかってたよ。 あの時、そのまま病院へ連れて行っていたらもしかしたら助かっていたかもしれないんだからな。