19の夏~私の愛した殺人鬼~

☆☆☆

 警視庁捜査一課の警部、新田順一(ニッタジュンイチ)は

山中(さんちゅう)の殺害現場で、大きなため息を吐いた。


 警部という職業がら、殺された遺体は見慣れている。

 しかし、何度見たって気分がいいものではないことは確かだった。


「絞殺のようですね」


 新田の部下である、20代後半の藤堂勇気(トウドウユウキ)は、そう呟くように言った。


 藤堂はヒョロリと背が高く、肋骨が見えそうなほど貧相な体をしている。


 いわゆる、モヤシのような男だ。