「紳一はね、このところバイトの合間にプールに行ってるみたいなのよ」

「はあ…」

「恵子ちゃんに挑戦するために、練習してたんだわ…」

「挑戦、ですか?」

「そう。あの子は、負けず嫌いだから」

「私はどうすれば…」

「一生懸命泳げばいいのよ。いえ、ぜひそうしてほしいの。そうすれば、もしかすると…、きゃーっ」

と言って、綾乃さんは私を抱きしめた。

「ど、どうしたんですか?」

「恵子ちゃんは本当にいい子ね! 大好きよ」

「はあ」