「――あれ」 思わず、声に出た。 気づいたことがある。 ――平和? ……幸せ? いつの間にか、まりあとの時間を、そんな風に思っていたなんて。 自分に驚く。 「どうしたの?」 まりあが言う。 言わないよ。まりあには、言えないよ。 言ったら、もっともっとまりあと仲良くなってしまう気がする。 ――そんなこと、今更。 天国まであと六十八段。