◇天国まであと十段 階段を上っていると、足音が聞こえた。 まりあかと思って振り返ると、そこには思いがけない人が立っていた。 「…………万里香。 何しに来たの」 一人のようだった。 麗子たちが来る気配もない。 でも、裏切り者に神聖なこの場所を汚されたくない。 ここに踏み入ってほしくなかった。 私の口調に万里香は戸惑っているようだったけど、おずおずと口を開いた。