短編集


 あとがき


 いくつかの実体験があります。


 例えば、
 1+1=2
 この式に" I love you."の意味があったら、という空想。
 言葉なんていらなくて、きっとバベルの塔さえ崩壊しなかった。数式の絶対さの前に、言葉のもろさを思った経験。

 あるいは、二つの三角形が合同であることを証明するための、あの整然とした文章。ぶれない結論を掲げて文章を書く楽しさを、あのとき知りました。

 そして、高校生になったとたんに、数学がまったくわからなくなってしまったこと。それまでは、仲良く隣を歩いていてくれると思ったのに、高校の数学は、あっという間にはるか彼方へ走っていってしまったような感覚。

 そんなことを文章にしてみました。


 20150912 二木ハルカ