…ううん。嘘。 “誰か”なんて、声を聞くだけで分かってしまうのにね。 「………おはよ」 ねぇ、あたし。 ちゃんと笑えてる? 「話、ある…」 ガシッと腕を捕まれた。 逃げたい。 「……うん」 でも、逃げない。 逃げてるだけじゃ何も変わらない。 「…詩乃佳」 「ごめん、圭ちゃん、先行ってて」 靴を履き替えた圭ちゃんにあたしはそう言った。 「ん、またな」 「うん」 少し心配した表情をした圭ちゃんに手をふった。 そして、手をおろした瞬間、利揮に捕まれてた腕を引っ張られた。 「……どこ行くの」