「伊織、ずっとずっとおまえの事が好きだった。もうこれ以上離れ離れはイヤなんだ……これからは、俺の傍にずっと一緒に居て欲しい」



そう言うと、槙原くんは初めて私を抱き締めた。



不思議だ。

まるでここが私の居場所だったかのように、居心地がいい。

私は考えるより先に、コクンと頷いていた。



ああ、私、星空の2人に謝らなくちゃ。

さっきは私の分も、年に1度でも会えたら幸せな時間を過ごして欲しい、って思っていたけど……。



きっと、これからの地上の2人は、星空の2人よりたくさんの幸せな時間を過ごせるんだから。



小2の時から始まった……ううん、もしかしたら、生まれた時から始まっていたかもしれない、地上の『べガ』と『アルタイル』の軌跡は、これからもずっと続いて行く。



天空に輝く1等星のように、同じようでいて、日々違う軌跡を、永遠に……。





2010.7.27    <Fin>