あの雨の日、きみの想いに涙した。




「由希とヤレたなんて超自慢だよ。また誘ってもいい?」

女は乱れた制服のボタンを留めながら言った。


自慢……?なにが?

俺はだるそうにあぐらをかいて、4限目のチャイムが鳴るのを待っていた。その間も女は横でペラペラと話しを続ける。


「でも由希って普段でもSだけど、ヤル時もSなんだね。超かっこいい」


女は制服を直し終わって俺の肩にピタリと寄り添ってきた。ふわりと甘ったるいシャンプーの匂いがしてきて、それさえも今はうざい。


なんで女は俺に他のものを求めるんだろう。


例えば彼女にしてとか今度家に行きたいとか。妙にベタベタされると俺の胸の底に眠る冷たい部分が顔を出す。


「SとかMとか、そういうこと言ってる女ってすげーバカっぽいんだけど」

「えー可愛いって言ってよ」

「離れろ」

「ムリ。由希とくっついていたい」

   
無理やり体を引き離そうとしても女は関係なく腕にすり寄ってきたり、指を絡ませたりしてくる。