あの雨の日、きみの想いに涙した。




「ねえ、由希ー。佳奈のこと見えてるー?」

女はヒラヒラと俺の顔の前で手を振る。

「なにか嫌なことでもあったの?」

「うるさい黙れ」

女はなにを思ったのか寝ている俺の体をまたいで上に乗った。


「おい、重いし止めろ」

その言葉と同時に女は俺にキスをしてきた。何度も何度も角度を変えて俺の理性を煽ってくる。

そのせいで、また空が見えなくなった。


「嫌なことは楽しいことをして忘れちゃおう!」

女はシュルッと制服のリボンを取った。Yシャツのボタンを上から順に外して、女の白い肌からピンク色の下着が見えてきた。


なんで俺の周りにはこんなヤツしかいないんだろう。

自業自得?自分で撒いた種?
正論すぎて笑えない。


「由希、楽しいことしないの?」

こういうイラついたときには必ず俺はいつもより強めに女と重なる。傷をつけても爪を立てても、俺の与えた快楽で女はなにも気にしない。


吐き出せないものを吐き出す感覚。だけど終わったあとに残るのはいつだってなにもないの空虚感(くうきょかん)だけ。


「するなら勝手にしろ」

俺は空を見上げながら言った。すると女はシュルッと俺のネクタイをほどく。


「じゃあ、由希は寝てるだけていいよ。佳奈が楽しませてあげるから」