「その番号はお助けナンバーだよ」

「は?」

「昨日言ったよね?アンタのスマホに入ってる女たちとその紙切れと冴木由希にとってどっちが必要かって」

「………」

「冴木由希が本当にツラいとき、一体何人の女が駆けつけてくれるの?」


青木夏月の目はなぜか真剣だった。だけど言いたいことがまだよく分からない俺は相変わらず冷たい態度で返す。


「だからなにが言いたいの?」

遠回しな表現は嫌いだ。だからわかりやすい女のほうが扱いやすい。体を求められたら押し倒して、流れ作業のように行為をする。それがスマホに入っている女たちと俺の関係。


「冴木由希が泣きたいとき、たくさんの女たちは一緒に泣いてくれるの?」

「………」

「なにも聞かずに話を聞いてほしいとき、ただ傍にいてくれる人はいるの?」


こんなことを言われたのは初めてで、すぐに反論できなかった。だけどその吸い込まれそうな瞳を俺は反らせずにいる。 


「私はね、最後の最後で現れる正義のヒーローにはなれないけど、ピンチのときに駆けつけるスーパーマンにはなれるよ」