「いらねーよ」
俺はお茶を手で突き返す。
「なんで?お弁当食べるならお茶も飲むでしょ?」
なんだか胸の奥がムカムカする。
「ってか、馴れ馴れしくすんなよ。親切ぶって俺の気でも引こうとしてるわけ?」
「へえ、アンタの気ってお茶で引けるんだ」
そうだ。こいつはこういう女だった。俺の言葉に動じることなく言い返してくる。
「言っとくけどこのお茶は500円以上買ったら引けるクジ引いて当たったの。私はもうすでにお茶を買っちゃったからアンタにあげるって言ってるんだけど」
そう言うと再び青木夏月は無理やりお茶を俺へ押し付ける。
お茶をよく見ると昨日と同じ紙が貼り付けられていて、張るテープがなかったのか絆創膏(ばんそうこう)で慌てて止めてある。
「だからさー、俺に気があるんでしょ?」
ビリッと絆創膏を剥がして紙だけを取った。そこにはやっぱり番号とアドレスが書いてある。