なんだか聞き覚えのある声でおそるおそる振り返る。間違いであったらいいな、なんて願いも虚しくそこには青木夏月が立っていた。

俺は「はぁ……」とため息をついて、店員が入れてる袋をさっさと奪ってコンビニを出た。

なんであいつがここに……?


俺は一刻も早く青木夏月から離れたくてスタスタと歩く足を早める。なのに背後からはウサギのような小走りが近づいてきた。


「ちょっと待ってよ……!」

シャカシャカと買った袋を揺らして青木夏月は追いかけてきた。このままシカトしたいけど、後を付けられて家を知られることのほうが嫌だった。


「なに?」

ただでさえ疲れてるのに、なんでこの女の顔を見ないといけないのか。


「な、なんでアンタがここにいるの?」

「あ?それは俺のセリフだ」

青木夏月は考えるように黙って、次に俺の弁当の入った袋を見つめた。


「……もしかしてこの近くに住んでるの?」

それは一番聞かれたくないことだった。