あの雨の日、きみの想いに涙した。




再び40分以上電車に揺られてやっと香月町に着いた。時間はもうすぐ23時になろうとしている。

……はあ、肩痛てえ……。


新台入れ替えと日曜という条件が重なって今日は本当に混んでいた。平日は閑古鳥が鳴いているときもあるのに、廊下まで積み上がったドル箱がいくつもあって、一日中上げ下げをしたせいで肩は悲鳴を上げていた。

俺はくるくると腕を回しながら家とは違う方向に歩きはじめる。肩の悲鳴と同時に腹の悲鳴も聞こえてきたからだ。


外灯の少ない通りでコンビニの明かりだけが辺りを照らしていた。店内に入ってお弁当とおにぎりを手に取る。

俺の晩めしと言えばコンビニ弁当か出前しかない。

ばあちゃんが施設に入ってからは、ほぼ毎日ろくな食事をしてない気がする。


「お弁当温めますか?」

女の店員の声に「はい」と財布から小銭を出した。

たぶんここの店員には顔を覚えられている。微妙に女店員の視線を感じることがあったけど、見て見ぬ振りをしてきた。

だって、ここの店員と関係を持ったりしたら晩めしを買いに来れなくなる。


店員が俺の買った弁当とおにぎりを袋に入れている間、「あ……」と小さな声が後ろから聞こえてきた。