俺は俺の全てが嫌い。この顔も、この声も、この体も、そして青く冷たいこの心も握り潰したいほど嫌いだったんだ。

全部、全部消えてなくなってしまえばいいと思ってた。
 

だれかが言った。お前は冷たい人間だなって。  

だれかが言った。それはだれのせいでもなく、お前という人間が冷たいんだろうって。

それを言ったのは紛れもない自分自身。

俺は自分で自分を冷たい人間だと決めつけていた。


だれかが言った。

私はね、冴木由希という人間がどんな人間なのか知りたいだけ。

だれかが言った。

絶対に負けないで、昔の自分に負けないでね。


ムリだと思ってた。変われるわけないって。そんなのありえないって。

だけどここにいること、生きてること、全てが愛しい。

今は目に見えない愛さえ愛しく思う。

きみに会って、きみに出逢えて俺は変われた。

変われたんだ。