あの雨の日、きみの想いに涙した。




俺はスマホを閉じて公園に向かった。覚悟なんてもうずっと前からできてる。

公園に入ると遊具はブランコと鉄棒。そしてベンチがひとつ置いてあるだけ。休日なのに子どもの姿はなくて、いるのはたったのひとりだけ。


ふたり掛けのベンチの真ん中に背中を丸めて座る男の姿。

ドクン……と心臓が静かに鼓動する。自分の体がジワジワと熱くなっていくのを感じた。


脳内に蘇るあのころの日々。

殴られ、殴られ続けた地獄みたいな日々。

あれから5年、まだ5年。


ゴクンと唾を飲みこみ、鉛のように重くなった足を少しずつ前に進めた。

生暖かい風が公園に吹き抜けると、その風が俺の存在を知らせるかのように父親の髪を揺らした。それと同時に父親の目線がゆっくりと俺のほうに向く。


ドクンドクンとものすごい速さで心臓が動いた。

父親はなにも言わずに無言でベンチから立ち上がり俺のほうに歩いてきた。

お互い一歩ずつ距離を縮めていく。父親の足取りもなぜか重そうで、鉛が付いているのはお互い様みたいだ。