俺はポケットからスマホを出して1週間ぶりに電源を入れた。すぐにセンターに問い合わせをするとメールが一件届いていた。
そのメールの日付は今日。わずか数十分前に届いたものだった。
俺の瞳に映る表示された名前。俺はその名前が見たくて電源を入れた。
母親のこと、父親のこと、過去のこと、自分のこと。その全てと向き合おうと思えたのは全部この人のおかげだから。
〝青木夏月〟そう表示されたメールボックスをゆっくりと開いた。
【今日はお父さんと会う日だね。ちゃんと向き合うことを決めた冴木くんは本当に偉いと思う。頑張れなんて言わないけど、絶対に負けないで。昔の自分に負けないでね】
たとえこのメールが嘘だったとしても、その嘘で勇気をもらったならそれでいいと思った。
全てが仕組まれたものだったとしても、青木の行動や言動が全部偽りだったとしても、本当に戦うべき相手は自分だったということ。
過去でもなく、父親でもなく、自分に負けていただけだったということ。それに気づくことができただけで十分だと思った。



