あの雨の日、きみの想いに涙した。




それから数日が経って、俺の生活に変化はなかった。だけどひとつだけ変わったことは電車の時間を変えたこと。

青木がいつも乗っている電車より一本早い電車に乗るようになっていた。

青木に会って直接確かめたいと思う気持ちの反面、やっぱり怖いという気持ちが強い。


きっと会えば『おはよう』と変わらず青木は笑うだろう。なにも知らないふりができるほど俺は器用じゃない。


あの日からスマホの電源は切ったまま。青木との繋がりを切りたいわけじゃない。でもメールや電話がきたら俺の心はきっとナイフで切られるように痛いと思う。

少し気持ちの整理がしたかった。

全てを受け入れる準備。たとえ青木がいなくなっても俺が俺でいられるように。


その日の夜。俺は晩ごはんを買いにコンビニに行った。中途半端な時間ではなく、夜も更けた深夜の時間。夜遅ければ偶然青木に会うことはない。

コンビニの袋をシャカシャカと揺らしながら、思い出すのはいつだって青木からもらった言葉。


〝その番号はお助けナンバーだよ〟


スマホに伸びたくなる手を必死に我慢した。青木との思い出はそこらじゅうに転がっている。

空を見上げると今日は満天の星空だった。タイミングよく流れ星なんて流れないけど、俺が思う願いはあの日と変わってない。


青木が幸せになれますように。

あのときに一緒に願った青木の願いはなんだったのかな?

もしかしたらその願った願いも嘘だったのかもしれない。それを確かめる術(すべ)なんてないけど。