あの雨の日、きみの想いに涙した。





「私ね、本気だったからこそ許せなかったの。人を傷つけながら生きている冴木くんのこと」

「………」

「同じように傷つけばいいと思った。誰か好きになってその気持ちを踏みにじられればいいって」



俺の中で繋がっていく今までのこと。こんなにも外れてほしいと思ったことはない。

全て自分がしてきたことのしっぺ返しなのに、本気で外れてほしいと思った。


「だから夏月に頼んだのよ。冴木くんに近づいてって。冴木くんの心を奪ってって」

ドクンと今まで聞いたことのない音がした。

人の言葉でこんなにも心が痛んだのは生まれてはじめてだ。俺はきっとこんな痛みを色んな人にさせてきたんだと思う。


「信じたくないかもしれないけど本当のことだよ。私のこと一生恨んでもいいよ」


――『今まで見てきた夏月が全部偽りだったら?全てが嘘だったらどうする?許せないでしょ?』


許せるよ。許せる。全て偽りでも、全て嘘でも青木が変わらず俺の隣にいてくれるのなら。

でも俺の心を奪ったそのあとは?

青木はきっと俺を見ない。

あのときのことも、あの日言った言葉も全て嘘?

信じたくない。だって信じてしまえば……青木との日々が夢になるから。