「私ね、本気だったからこそ許せなかったの。人を傷つけながら生きている冴木くんのこと」
「………」
「同じように傷つけばいいと思った。誰か好きになってその気持ちを踏みにじられればいいって」
俺の中で繋がっていく今までのこと。こんなにも外れてほしいと思ったことはない。
全て自分がしてきたことのしっぺ返しなのに、本気で外れてほしいと思った。
「だから夏月に頼んだのよ。冴木くんに近づいてって。冴木くんの心を奪ってって」
ドクンと今まで聞いたことのない音がした。
人の言葉でこんなにも心が痛んだのは生まれてはじめてだ。俺はきっとこんな痛みを色んな人にさせてきたんだと思う。
「信じたくないかもしれないけど本当のことだよ。私のこと一生恨んでもいいよ」
――『今まで見てきた夏月が全部偽りだったら?全てが嘘だったらどうする?許せないでしょ?』
許せるよ。許せる。全て偽りでも、全て嘘でも青木が変わらず俺の隣にいてくれるのなら。
でも俺の心を奪ったそのあとは?
青木はきっと俺を見ない。
あのときのことも、あの日言った言葉も全て嘘?
信じたくない。だって信じてしまえば……青木との日々が夢になるから。



