あの雨の日、きみの想いに涙した。




女の事情も女が考えてることも興味はない。でも今まで隣の席になった女たちよりは居心地がいい。

だって俺の領域に踏み込んでこないし、ひとりでいるヤツは嫌いじゃない。

この女はいつもひとりだ。

そうなった原因なんて知らないけど、数だけ多くて誰かとつるまなきゃなにもできないやっとよりはいい。


俺がそんなことを考えてる中、女は黙々とチョークを走らせていた。トントン……とチョークが黒板に当たる音が響く。


〝明日で日直終わりだから〟

俺は自分のカバンを手に取り歩き出した。その足はドアではなく黒板のほう。

俺はチョークを手に取って素早くと文字を書いた。それは日直の当番の名前を書く欄。

【冴木】と自分の名前を書いたあと、続けてこう書いた。


〝宮野〟

それはこの女の名前。 

俺はチョークを置いて、そのまま教室を出た。


自分がした行動に深い意味なんてなくて、俺はただ日直の仕事をしただけ。

名前を書き込んだだけで仕事なんて言えないけど、やらないヤツよりはマシだと思う。

俺は階段を降りて昇降口へと向かった。


すると、シーンとしている校内でタッタッと廊下を走る音が聞こえた。


『……冴木君!!』

その足音と共に現れたのはさっきの女。

ハアハア……と息を整えたあとに女は俺の予想を飛び越えた言葉を言った。


『好きです』