あの雨の日、きみの想いに涙した。





中学を訪問したことで改めて強く思ったことがある。

俺はいつだって大切なものに気づくのが遅くて、なにも見ようとしなかった自分に後悔し続けている。だからこそ、今ある問題から逃げてはいけないんだと思う。

宮野麻奈は暫く沈黙になり、ゆっくりと後ろの壁に寄りかかった。



「……私、中学の時のあだ名はメガネちゃんだったの」


ザワザワとうるさいはずの雑音の中で、その声だけが俺の耳には鮮明に聞こえた気がした。


「友達なんてひとりもいなくて、いつも居場所は教室の隅だった。だから勝手に親近感を覚えていたの。いつもひとりだった冴木くんに」


俺の中で走馬灯のように思い出される中学校生活。確かに俺はいつもひとりで、宮野麻奈もひとりだった。


「……でもね、冴木くをは私と全然違った。……全然違う人だったの」


同じひとりでも宮野麻奈と俺は違った。その言葉の意味なら俺にだって分かる。

だって俺はひとりでいることを自ら望んでいた。

誰とも関わりたくなかったし、関わる気もなかった。

きっと宮野麻奈は……ひとりになってしまった人間だったんだと思う。


「私ね、なにか理由があるんだと思ってた。冴木くんがひとりでいなければいけない理由が。だからいつの間にか毎日目で追ってた」


宮野麻奈は深く息を吸った後、静かに言った。


「私にとって冴木くんは初恋だった」