あの雨の日、きみの想いに涙した。





「俺、正直忘れてた。同じ中学で同じクラスで隣の席になったこと」

「………」

「でもやっぱりなにも分からないんだ。だから直接聞きにきた。本当のことが知りたくて」


いくら時間をかけようと、きっと俺には思い出せないと思う。なにも感情がなかったあの頃は無関心の塊だったから。

宮野麻奈はフッと鼻で笑って、俺の目を見つめた。



「言いたくないって言ったら?思い出したくないって言ったら?」

ザワザワとうるさい駅で宮野麻奈の声が響く。


「冴木くんって結局自分が可愛いんだね。私から真実を聞いてラクになりたいんでしょ?モヤモヤした気持ちを取り払いたいんでしょ?」


俺の中で何かが弾けた音がして、俺は宮野麻奈にズカズカと近づいた。そして……。


「違うよ、違う。本当は聞きたくなんかないし、真実だって知りたくない。だけどそれじゃダメなんだ」


傷つけた事実も昔の自分とも無関係でいられたらどれだけラクなんだろうと思う。

俺は弱い人間だから、本当はなにも知らず、なにも分からず、なにも見ずに生きていたい。

でもそれじゃダメなんだよ。


「俺は沢山の人を傷つけてきた。だけどもうそんなことはしない。そんなことをしない俺でいたいと思うから今までしてきたことと向き合いたい」

「………」


「俺は本当に本当に昔の自分から変わりたいんだよ」