あの雨の日、きみの想いに涙した。




それから1時間以上過ぎたころ青木が俺を呼びにきた。普段はあまり行くことのない居間に行くと、そこにはいつもとは違う光景が。

テーブルの上にはたくさんの料理が並んでいて、きっと青木がさっきまで作ってくれていたものだ。


「味はわからないけど見た目はまあまあでしょ?」

青木は少し照れた表情をしていた。


まあまあ?どこがだよ。

青木が作ってくれた料理はすべてが完璧で……。まだなにも食べていないのにもう胸が苦しかった。

冷めないうちに食べようと俺たちは同時に腰をおろす。


「食べていいの?」

「どうぞ」

「いただきます」

緊張している青木の視線を感じながら俺は料理をひと口食べた。


「……うま」

素直な感想がぽろり。


「え、本当?」

「うん。本当」

「よかったあ……!」

安心したように肩を撫で下ろす姿を見て、俺は改めて青木の目を見ながら言った。


「本当にありがとう」

だれかにお礼を言うと言われたほうも言ったほうも心が暖かくなる。それも青木が教えてくれたこと。