あの雨の日、きみの想いに涙した。




青木はそのあと俺に家で待っているように言って、どこかに走って行ってしまった。どこに行ったのかわからないまま、とりあえず俺は家に着いた。

制服からスウェットに着替えてベッドへと腰を下ろす。

家で待っててってことは……青木は家に来るってことか?

それともこれからどこかに出掛けるとか?

お祝いとか言ってたけど、お祝いってなにをするんだろうか。


暫く経って、青木が俺の家に戻ってきた。

走ってきたのか息は少しだけ上がっていて、両手には大きなビニール袋。家に到着するなり青木は「台所借りるね」なんの説明もなく、また俺を部屋に置き去りにする。


なにかを作ってくれる予定なのかもしれない。

気になって台所について行こうとしたけど止めた。なんとなく楽しみはとっておいたほうがいい気がしたから。


開けっ放しのドアからはガチャガチャと青木が台所に立つ音がする。……やっぱり安心する音だ。