あの雨の日、きみの想いに涙した。




「今日、冴木くんの誕生日じゃん……」

青木が見ていたのは俺が書いた生年月日。自分で書いたくせに青木の言葉で改めてその事実に気づかされた。


「ああ、そうかも」

俺の反応は薄かった。

正直自分の誕生日なんて気にしていないし、俺にとってはただの生まれた日だということだけ。


「お祝い……。お祝いしなきゃ」

「え?」

「だって今日なんでしょ?一緒にお祝いしようよ!」

なぜか青木のテンションは上がっていて俺は目を丸くさせる。

お祝いって……俺の誕生日のお祝い?

まさか展開になるなんて思ってなかったからまだ困惑していた。だって誕生日なんて祝ってもらったことがないし、そんなのしなくてもいいと思ってた。

きっと青木が言ってくれなかったら、17歳になった今日もなにも変わらなく1日が終わっていた。


どうして青木は今までだれもしてくれなかったことをしようとしてくれるんだろう?

この瞬間でさえ、青木への気持ちが募っていく気がした。