あの雨の日、きみの想いに涙した。






「……俺って最低だな」

その日の昼休み。俺は頬杖をつきながら呟いた。


「え、なんだよ、いきなり」

食欲のない俺とは違って、竹田はすでにパンを三つも食べている。
  

「竹田から見て俺ってどのくらいひどいヤツだった?」

今朝の宮野麻奈とのやり取りを思い出しながら改めて今までの自分はどんな感じだったのか知りたくなった。


「さあ。俺はお前に最低なことをされた覚えがないからよくわかんない」

竹田は食べていたパンを完食して、なんと四個目のパンの袋を開けはじめた。それをぼんやりと見ながら気分はさらに沈んで、考えれば考えるほど出口のない迷路をさ迷っている気分。


「冴木は本当に変わったな」

ざわざわとうるさい教室の中で、その言葉だけが俺の耳に鮮明に聞こえてきた。

竹田はパンを頬張りながら、もう一度繰り返すように言う。


「本当……お前は変わったよ」

竹田の言葉になぜだか涙が出そうになった。