あの雨の日、きみの想いに涙した。




竹田と話したことで俺のモヤモヤは少し軽くなっていた。授業がはじまって数分後。俺のズボンのポケットでスマホが振動していた。


【無事に家に着いたよ。昨晩は本当に色々とありがとう。熱も今のところ下がったままだし、冴木くんのおかげで明日は学校に行けそうです。何度も言うけど本当にありがとね】

それは青木からのメールだった。


さっきまで青木のことで悩んでいたのに、メールを見たらホッとした。

浮かび上がった疑問よりも青木が無事に家に着いたこと。そして俺の知ってる青木だと言うこと。多分、きっとこの気持ちが俺の本心なんだと思う。


今まで俺が見てきた青木の姿が全てじゃなくても、俺にとってそれが全てならもうなんでもいいと思った。

この答えが出た瞬間、俺は吹っ切れたように文字を打ち返す。


【そっか。よかった。今日は一日ゆっくりしてなよ。もしなにかあったらすぐに連絡して。俺も青木のスーパーマンになりたいから】


〝私はね、最後の最後で現れる正義のヒーローにはなれないけど……ピンチの時に駆けつけるスーパーマンにはなれるよ〟


こんなことを俺に言ってくれたのは世界中で青木だけ。

それなら俺も……大勢の中のひとりではなく、だれかのたったひとりの人になれたら……なんてそんなことを思う。

俺をこんな気持ちにさせるのも世界中で青木ただひとりだけだ。