「……学校はとりあえず今日は休むよ。少しまだだるさが残ってるし。冴木くんは……」

青木はそう言って俺のほうを見た。その視線は驚いたようにピタリと止まる。

「俺はこれから行くよ」

そう。俺が着ている服装が制服だったから。


別に学校がある日に制服を着ているのは普通のこと。だけど俺が制服を着て青木が目覚めるのを待っていたなんて、まるで早く学校に行きたいと言ってるみたいだ。

俺は自分のせいで遅刻させたと青木に思わせたくないから、青木が口を開く前に言った。


「べつに行かなくてもいいんだけど家にいても暇だから。青木は……ひとりで帰れる?」 

「うん。平気」


本当は学校に行くつもりなんてなかった。数時間前までは。

病み上がりの青木をひとりにさせるのは心配だし、青木が学校を休むならこのまま家にいさせるつもりだった。

でも、どうしても引っ掛かることがある。それを解決しないと胸がモヤモヤして気持ちわるい。