あの雨の日、きみの想いに涙した。




「なあ、宮野麻奈って女知ってる?」

学校が終わって帰り道。俺は竹田と駅に向かって歩いていた。


「なになに?お前から女の名前が出るなんて珍しいじゃん」

竹田が顔がなぜかニヤついていた。こいつに聞いた俺がバカだった。

はあ……と露骨にため息をすると「知らないけどその子がどうかした?」と竹田が話を戻す。


「いや……」

俺はそれ以上なにも言わなかった。

竹田も気になってるみたいだけど必要以上に聞いてこない。

俺は話したくないことは絶対に話したくないし、答えられないのに色々と聞かれるのも嫌い。だから竹田のような〝話してくれるまで待つ〟というタイプの人間は安心する。

竹田はその場の空気を読み、話題を変えた。


「俺あの子、振っちゃった……」と昼休みに起きた出来事を話はじめた。

やっぱり俺の予想どおり、あの女の子は竹田に好きだと伝えにきたらしい。竹田は人生初の告白だったらしくテンションが上がってると思いきや……。


「前まで告られるのが夢だったけど好きな人がいるとツラいよな……」

そうでもないみたい。