あの雨の日、きみの想いに涙した。



俺が初めて女を知ったのは中学一年の時だった。

相手はふたつ上で経験済みの女。なんで自分が誘われたのかは分からないけど、同級生たちより落ち着いていた俺がある意味浮いた存在に見えて、たまたま目に止まったのかもしれない。

場所は体育館の倉庫だった。


別にそういうことに興味があったわけでもなかったけど、経験しとくのも悪くないかと思い誘いを受け入れた。


知識なんてなにもなくて、俺はただリードされながら行為をした。


その瞬間、今までに感じたことのない感情が沸き上がってきた。人付き合いもままならない自分がだれかの肌に触れている。

人の体がこんなに温かくて柔らかいことを知った。


だれにも必要とされなかった俺を相手は必要としてくれている気がした。消えそうだった自分自身がピタッと地に足を着けた気分。

上手く表現できないけれど、本当にそんな気分だったんだ。


この時ならまだ愛とか繋がりとか、目に見えないものを信じられたかもしれない。