青木はこんな話をされてどんなことを言うだろう。

大丈夫って励ます?頑張ったねって褒める?

それともなにも言わない?


べつになにも求めてなんかないけど、過去のことを話したのは自分のため。

だれかに打ち明けたかった。だけどだれでもよかったわけじゃない。


俺はうつ向いたまま青木の顔を見なかった。

……すると、冷たかった体の一部がポッと暖かくなる。その場所に目を向けると、青木が俺の手を握っていた。


「人との繋がりなんてそんなに難しいことじゃないよ。だってほら、今ちゃんと繋がってる」

青木と俺の手は繋がっていた。

雨で冷たくなった俺の手と暖かくて優しい青木の手はたしかに繋がっていた。