『冴木くん……?』 青木の声が動揺していた。 『冴木くんだよね?え……い、今どこにいるの?』 慌てた青木の声がぼんやりとしか聞こえない。 耳鳴りのせいかな。 『南口のどっか……』 『ど、どっかってどこ?なにがあったの?』 『………』 『……冴木……くん…冴………』 スマホが雨に濡れて壊れたのか青木の声が途切れ途切れに聞こえる……ガチャンッ。 俺はそのまま意識を失った。スマホが地面に落ちて電話の向こう側ではまだ青木の声が響いていた。