あの雨の日、きみの想いに涙した。




女との暇潰しが増えれば増えるほど男からの呼び出しが多くなる。

三年の男、二年の男、一年の男。なぜか他校の生徒や街を歩いてるだけで知らない男に呼び出されることも珍しくない。


『調子に乗るな』
『気にくわない』
『俺の女に手を出しやがって』

男たちはみんな同じことを口にする。そのたびに俺は見ず知らずのヤツに喧嘩を売られて、ひどい時は10人ぐらいに囲まれたこともあった。


別に調子に乗ってないし、気にくわないならそれでいい。


でもひとつだけ訂正するとすれば俺を誘ってくるのはいつだって女のほうからだ。


だから俺の女に手を出した、なんて言われても納得できないし、男たちの怒りが俺だけに向けられる意味もわからない。

それでも男たちは俺を殴る。苛立ちをぶつけるように蹴りあげて、ときにはバットや物を持って向かってくる。


そういう場面に遭遇するたびに心が凍りついて、自分の血がざわざわとうずく。

そうなると決まって俺は男たちの顔をやり返すように殴り続けていた。何回も何回も、意識がなくなるまで。


相手が何人いようと関係ない。

殴られたら殴り返す。蹴られたら蹴り返す。

物でやられたらその分また殴ればいい。