八月の指定席【花火・短編】

「マコ、あと何かいるもんある?」

オレがそう聞くと、

マコはオレからビールを受け取りながら、自分の前を指差した。





「ここ座ってよ。あとは、

ユースケがいれば、…何もいらない」

「…マジ?」




ドキッとして、

自分用に持って来ていたビール缶を、

足の上に落としてしまった。




「いてーっ!」

「やーっぱ、ドンくさいよね!

気がきかないわ、気弱だわ、ドンくさいわ…、

最高だよ、ユースケ」




「最高?バカにしてんだろ?」

「いーえ、最高のホメ言葉です」

















そう言って、

オレを見て笑顔になるマコを





数年後、

いつの間にか好きになっていた。