八月の指定席【花火・短編】

よし。

オレもここは勇気を出して。

「去年あんなことあって…すげーツライ時に、いつも一緒にいてくれたのは、

マコだって、ちゃんとわかってる。感謝してもしきれない」

「………」

「頼りないオレだけど、また今年も、たくさん飲みに連れてってくれよな…。

マコといたら、すげー楽しい」

「…ホント?」






トイレの中から、蚊の鳴くような声が聞こえてきた。

いつも強気のマコからは、想像もできない。






「うん、ホント」

そう言ったら、扉がガチャッと、開いた。





もう涙は乾いていて、そこにはいつものマコがいた。

「ユースケ、ティッシュ持って来て」

「…ハイハイ」