キミ色ヘブン

2人の関係を図りかねる私には小さな疎外感しかなくて、黙って見つめるしか出来なかった。

「中山君、この続きも読む?12巻まで出てるんだ」

「いいの?ああ、でも持って来るの重いでしょ?」

「一冊づつ持って来るから別に重くはない」

「あ、そう?じゃお願いしようかなぁ」

「分かった。……ところで中山君、島先生知らない?この鍵返したいんだけど」

三上さんの指に掛かっているのは、美術準備室の鍵。

「あぁ、さっき職員室の前で見たけど?」

「そっか。じゃ、行って来るかな」

急に顔をこちらに向けて鞄を肩にかけなおすと、三上さんはチラリと私を見た。

「ば、ばいばい、三上さん」

と精一杯の作り笑顔。

「……ばいばい、中山君」

……感じ悪ッ!