キミ色ヘブン

でも写真を撮る彼女は部活にきても隣の準備室の一角の暗室に篭ってしまうので、あまり顔を合わすことはなかった。

もちろん、そんなに関わりあいたいって思ってもないけど。

無造作に長い黒髪を首元で一つに束ねていてる三上さんは大きめのガッチリしたカメラを首から下げて、右手には見たことない“写真線化”という雑誌、鞄は襷がけ。

どう見ても……

将来は秋葉原にいそうな。とっつき辛いというか。

とにかく積極的に関わって行こうとは思えない女の子で。

「丁度いいや。三上さん、この漫画ありがとね。まだこっちは読んでないんだけど……」

え?うそでしょ?

さらに目を見開いた私の目の前で、流れるような自然な速度で中山君の薄い鞄から二冊の少女漫画が出てきて、一冊が三上さんの手に渡った。