キミ色ヘブン

バイクに乗るのなんて初めてだったし、こんなにカラフルなヤンキー達が来るなんて聞いてなかった。

慣れない雰囲気に怖気づいて海についても黙りこくっている私を

「白川さん、別に無理して話さなくていいからね?」

中山君は誰にも紹介しなかった。

別に紹介されたい訳ではないけれど、学校でも高藤君や黒田君みたいに有名じゃない地味子の私は紹介して貰わなきゃ名前さえ知られていないわけで。

居心地の悪さから私は皆から少し離れたコンクリートの防波堤に腰掛けた。

海の中にはすでに上半身裸のカラフルな頭達。自然の青の中に広がった人工色が我れ先にとぶつかり合い、そこに生まれる一瞬の色はなんともいえないきらめきに包まれている。

ああ、私のこの頑張った茶髪なんてあの人達の中ではほぼ『黒』。
やっぱ私があそこにいても浮くだけ。

まだ五月だというのに降り注ぐ太陽の光は、これでもかっていう程強くて

水面でキラキラと乱反射しては私の目を挑発するように攻撃する。

そんな事しなくても私に勝ち目なんてないのに。

世界はキミ達のモノなのに──