私は驚きすぎてて声が出ない。言葉も出てこない。


「あ、そんなに怒ってる?ホントごめん。」


申し訳なさそうにぺこっと謝る彼。


「あ、違うのっ…違うんです。全然怒ってないです。
だってあの…こうしてまた会えるなんて…思ってなかったから…びっくりしちゃって…。」

「俺は…君がこの駅でこの時間の電車に乗ってるってこと…前から知ってたけどね。」

「え?」

「って俺、ストーカーみたいだな…
でも違うから。全然ストーカーとかじゃねぇよ?
ただ、部活の朝練があるときは君が乗る時間の電車じゃねぇと間に合わなくて…
だからあの日…あの電車に駆け込んだんだ。」

「そうだったんですか…。」

「まさかあんなことになるとは思ってなかったけどな。
つーかあれ以来被害とか遭ってねぇよな?」

「あ、それは…はい。大丈夫です。」

「なぁ…敬語ってクセ?」

「え…あ…えっと…クセ…というか…ちょっと緊張してて…。」

「緊張…?」

「だって…。」



私はぎゅっと両手を握りしめた。
今、言わなくちゃ。