無意識で自分のライターを持って火を彼女の煙草へ近づけていた。
「ホストみたい」
彼女は少し笑って煙草を銜えた顔を俺の手に近づけてくれて。
俺はライターをポケットにしまいながら、予め考えていた台詞を口にした。
「片瀬さん、俺の名前知ってます?」
「佐々木さん」
「いや、下の名前」
「・・・知らない」
―――そっか・・・下の名前知らないのか。
ちょっと凹んでる自分を奮い立たせるように取りあえず笑った。
「あはは、涼一っていいます。歳は分かります?」
「ん〜年上?」
「そりゃそうでしょ。1年後輩ですけど中途採用ですし」

