背中越しの専務は仕事や事務所の話を始めて、彼女は聞き役になっていた。
時々「そうですよね」と相槌を打ちながら。
やっぱり年齢より落ち着いてるなと感心していると
「飲んでるか?」
上原部長が横に座った。
「部長は飲んでるんですよね?」
すでにいい感じに出来上がっている上司を見て苦笑する。
「おっ、ちょっとは前進か?」
意味不明の言葉に首を傾げると
チョイチョイと親指で俺の後ろを差していて。
「まっ、専務もじき喋り疲れるからあとは頑張れよ!」
小声で意味深な言葉と笑顔を残して立ち上がると他の席へと移動した。

