ビルの角から居酒屋を見ている彼女・・・ ―――真央を見つけた。 乱れる息を整えながら俺は彼女だけを見つめてゆっくりと少しずつ距離を縮めた。 もうすぐ彼女の肩に手が届くところで 「さよなら・・・涼一」 彼女が小さく囁いた。 ―――彼女の言葉を聞いた瞬間・・・ 「真央!」 俺は彼女が消えないように、ありったけの力を込めて彼女を後ろから抱き締めた。 「涼?」 戸惑った声色の彼女は・・・夢にまで見た本物の貴方で。 「真央・・・真央」 確かめるように何度も愛しい彼女の名前を呼んだ。