顔を上げてくださいとお願いしても、彼らは下を向いたままで。 妻は俺達から目線を外して庭を眺めながら 「・・・でもね、涼君は好きな人がいるんだよ」 そう呟いて立ち上がると静かにリビングから出て行った。 妻のセリフに頭を上げてくれなかった義父母が俺を見ていて。 俺は肯定も否定もできず黙っていた。 しばらくして義父はひとつ聞いてもいいかと聞いてきた。 「君は・・・娘を愛していない・・・んだね?」 「はい。申し訳ありませんが」 「娘は、君だけでなく息子も失うと思っているんだが」