電話の向こうで泣く妻に落ち着くように言ってもただ泣いていて返事がない。 受話器から聞こえる嗚咽から倒れた母親を心配して混乱してるのが分かる。 「とりあえず帰るから・・・」 そう言って電話を切ると上原部長に義母が倒れたことを伝え、高橋にも同じように言ってから鞄を持って会社を出た。 ―――義母が倒れたぐらいであんなに混乱するものか? 疑問に思いながらも、帰りたくもない自宅へと足を向ける。 途中で彼女に『今日はいけなくなった。また連絡する』というメールだけは忘ずに送った。