「俺は真央にだけ気を許せる。あとは全然ダメ。同僚にも家族にも全然気を許せない」
高橋は同僚だけど友人の括りだけど
―――完全に気を許せるわけじゃない。
「家族にも?」
「うん。親にも兄弟にもどこか壁を作ってる、今でも」
―――ホントの事なんて今更言えないんだ。
彼女は何か言いかけたのか口を噤む。
付き合い始めてから気付いた彼女の癖。
仕事の時は決して見せない姿に最初は嬉しかったけど
―――最近は癖ではないんじゃないかと感じていて。
「真央、いつも言葉を飲み込んでない?」
「え?」
「いつも俺に何か聞きたいのに聞けない・・・言いたいのに言えないって感じがする」

