「真央」





何度・・・





―――貴方の傍に近づきたいと願ったのだろう・・・





ベッドに縫い付けている俺の手を握りしめる彼女の手が幻ではないと告げる。



消えないで欲しいと願いながら握り返す彼女の手は暖かくて。





「真央、俺の名前・・・呼んで?」





一度でいい、貴方の声で呼んで欲しい。





―――今が夢ではないと貴方の声で教えて欲しい。





「り・・・涼・・・一」



―――夢じゃない・・・?



もう一度聞きたくて・・・





「・・・もう一回言って?」





「涼一」





背中に回された腕が俺と貴方の距離を縮めてくれる。