「歌わないんですか?」
目の前にあった本を指差しながら聞いてみた。
―――彼女は俺の手を見ている。
そう言えば忘年会の時も目を見開いていた事を思い出した俺は、つい思った事を口にしていた。
「俺の手って何かありますか?忘年会の時も」
黙ってしまった彼女の顔を見つめると何か触れてはいけない事を言ってしまったのかと後悔するけど
―――時すでに遅し・・・
話題を逸らそうと彼女の顔から視線を外そうとした時、彼女の頬に睫毛がついていて思わず
「あっ片瀬さん、少しじっとしてて」
―――無意識で彼女の頬に触れた。

