「おっ、話が早いな。次の飲み代は奢りって事で」
「分かったよ」
高橋と打ち合わせていると、「ただいま〜」と部長が戻ってきて
自分の席には戻らずなぜか俺と前川さんの間に腰を下ろそうとする。
1人分の隙間もないところに大の男が座るとなると狭くて。
俺は苦笑いして席を立った。
―――これってもしかして・・・
高橋を見ると、やっぱり奴は早く行けと顎で合図を送る。
歩きだそうとすると、伊藤が俺のいた場所へ腰を下ろそうとしていて。
高橋は歌本を捲っている伊藤と自分を交互に指差しながら声に出さずに早くと言う。

