高橋と前川さんと3人で歩きながらも、後ろの彼女が気になって。
俺達を見ていた伊藤が、手を振りながら「片瀬さぁん」と声を掛けたので振り返る。
すでに話終えたのだろう、藤井部長の後ろ姿と小走りで近付いてくる彼女が視界に入った。
「一緒に移動しまひょ」
呂律の回らない伊藤の頭を上原部長が叩いていて、俺と高橋は笑っていたけど。
―――前川さんは少し困ったように俯いていた。
「そういえばぁ〜俺ぇ〜片瀬さんの携帯知らないですぅ」
しばらく歩くと少しアルコールが抜けたのか、甘えた声で話す伊藤。
彼女は「私の番号は高いよ?」と答えていた。

