男子校ファイター



「「ただいまぁ」」
「あっ…」

黒崎の後ろから駆け寄ってくる楽と秋先輩。
声に振り向く黒崎と2人の目が合う。

「失礼致しました。お嬢様に用があって。」
「あぁー。良いよ良いよ。お疲れさん」

軽くお辞儀をした黒崎は、
秋先輩と話しつつあたしに背中を向けた。

なぜか心細くって。
背中が丸まった。

「お嬢様。コレが私の番号とアドレスですので…。」

でもそれ以上に。
用意周到で世渡り上手な黒崎に笑みがこぼれた。

「ありがとっ♪」
「…ぃえ。」

下を向いて黙り込む黒崎。
あたしは黒崎の顔を覗き込んだ。

「黒崎?」

「ぁ…失礼しましたお嬢様。
上の階の角の部屋が私の部屋ですのでいつでもお伺いください。
おやすみなさいませ。お嬢様。」

「おやすみ。」

何事もなかったかのように頭を下げて帰る黒崎。
楽と秋先輩はいつの間にか部屋へと戻っていった。